全成分表示は化粧品パッケージや添付文書に記載されている、配合成分をすべて並べたリストである。読者が特定の成分を含む商品かどうかを確認する手がかりになる一方、並び順の意味を誤解している例も見かける。ここでは並び順の読み方を制度に沿って整理する。
全成分表示とは何か、なぜ並び順が注目されるか
化粧品は医薬品医療機器等法に基づく区分の一つであり、医薬品や医薬部外品とは別に扱われる。化粧品には、配合されている成分をすべて記載する全成分表示が義務付けられている。
全成分表示は成分の名称を並べたものであり、量の数値そのものは書かれていない。そのため、配合量の多い成分が何かを知りたい読者は、記載されている並び順に注目しがちである。並び順にはルールがあるが、そこには例外もある。
記載順は配合量の多い順というのが基本ルール
厚生労働省の通知(平成13年3月6日 医薬監麻発第220号・医薬審発第163号)により、全成分表示の記載順は配合量の多い順とすることが定められている。もっとも多く配合されている成分を先頭に、以下配合量の順に並べる、というのが基本の考え方である。
このルールがあるからこそ、全成分表示の先頭付近に書かれている成分は、その商品の中で配合量が多いと読むことができる。並び順から量の傾向を読み取れるのは、このルールに支えられているためである。
ただし1%以下の成分と着色剤は順不同でよい
同じ通知では、配合量が1%以下の成分と、着色剤については、順不同で記載してよいとされている。つまり量の多い順という基本ルールには、この二つの例外が設けられている。
配合量1%以下の成分は、比較的少量しか使われていない成分であることが多い。したがってこの例外は、全成分表示の中でも後ろのほうに書かれる成分の並びに関わってくる。着色剤についても、配合量にかかわらず順不同でよいとされている点は同じである。
後ろのほうにある成分の配合量は、並び順からは決められない
1%以下の成分と着色剤に順不同の例外があるため、全成分表示の後半に書かれた成分同士については、書かれている順番だけから配合量の大小を判断することはできない。ある成分が別の成分より後ろに書かれているからといって、その成分のほうが少ないとは言い切れない。
「後ろに書いてある成分は、ほとんど入っていない」という理解は単純化しすぎである。1%以下という範囲の中でどちらが多いかは、並び順からは分からない。この点は全成分表示を読むときの注意点として押さえておきたい。
水やグリセリンが先頭に来ても、品質の良し悪しとは関係ない
配合量の多い順という基本ルールにより、水やグリセリンのように配合量が多くなりやすい成分が、全成分表示の先頭に来ることがある。これは基本ルールに沿った結果であり、特別なことではない。
全成分表示の先頭にある成分が水やグリセリンであること自体は、その商品の品質が良いとも悪いとも意味しない。配合量が多い成分と、商品の効果や品質とは別の話である。
なお「○%配合」のように具体的な割合を示す表示は、全成分表示とは別の任意の表示であり、必ず記載しなければならないものではない。むしろ、そうした割合の表示をしていない商品のほうが多い。割合を示す表示をする場合には、景品表示法上、実際の配合量と異なる誤った印象を与える表示にならないことが求められる。




