全成分表示にレチノールとあると、何が変わるのか
化粧品の全成分表示にレチノールという文字を見つけると、効果への期待が高まりやすい。しかし成分名が表示されることと、その商品がどんな効能をうたえるかは別の制度で決まっている。全成分表示の仕組みと、化粧品が言ってよい効能の範囲を順に確認したい。
全成分表示は、化粧品に配合されている成分をすべて消費者に知らせるための仕組みである。パッケージや商品ページに並ぶ成分名を見れば、何が配合されているかを確認できる。表示の目的はあくまで配合の事実を伝えることにある。
記載順は原則として配合量の多い順に並べる決まりになっている。ただし配合量が1%以下の成分と着色剤は、順不同で記載してよいとされている。そのため後半に並ぶ成分ほど少ない配合量とは限らず、並び順だけから配合量の多寡を決めることはできない。
レチノールという成分名が全成分表示に載っていても、それは配合されている事実を示すだけである。その商品がどんな効能をうたってよいかは、成分名とは別の基準で決まる。
化粧品として言える効能は、配合成分が何であっても56項目のまま
化粧品が表示してよい効能の範囲は、別表第1に定められた56項目に限られる(薬食発0721第1号)。乾燥を防ぐ、肌にうるおいを与えるといった表示は、この56項目の中に含まれるものだけが認められる。
レチノールのような成分名が全成分表示にあっても、言ってよい効能の上限はこの56項目から増えることはない。配合成分が何であっても、化粧品として表示できる効能の枠組みは変わらない。
なお別表第1の注記では、「皮膚」は「肌」と言い換えてよいとされている。項目名の括弧内は、洗顔料や歯みがき類のように使用形態を限定する語句であり、効能そのものを広げる記載ではない。
「乾燥による小ジワを目立たなくする」だけは試験が要る
別表第1の56項目のうち、56番目に置かれた「乾燥による小ジワを目立たなくする」という表示だけは扱いが特別である。他の55項目とは異なり、表示するために試験が求められている。
この表示を使うには、日本香粧品学会のガイドラインに基づく試験、またはこれと同等以上の試験を行っている必要がある。試験を行わずにこの表示だけを使うことはできない。
「※効能評価試験済み」という注記は、法令上の表示ではなく、日本化粧品工業連合会が定めた自主基準による表記である。試験の具体的な内容は、小ジワの表示を扱う記事で確認できる。
医薬部外品の「有効成分」とは制度上の扱いが違う
医薬部外品には、国の手引きの別表4-1で効能効果の範囲が定められている。その効能を支えるものとして、有効成分という枠組みがある。育毛剤であれば定められた効能効果の語句を使い、有効成分がその根拠になる。
化粧品の全成分表示に載る成分は、医薬部外品の有効成分とは制度上の位置づけが異なる。全成分表示は配合の事実を示すものであり、医薬部外品の有効成分のように特定の効能効果を根拠づける枠組みではない。
成分名だけを見て、医薬部外品のような効能を連想しないよう注意したい。同じ成分名であっても、化粧品として表示できる範囲は別表第1の56項目にとどまる。
成分名で選ぶより、書かれている効能で選ぶ
成分名は配合の事実を示すが、その商品が何をうたえるかまでは決めない。商品を見比べるときに手がかりになるのは、成分名よりも、そこに書かれている効能の言い方のほうである。
「乾燥による小ジワを目立たなくする」のように条件の付いた効能が書かれていれば、その条件を満たす手続きを経ていることになる。逆に、成分名だけが目立って効能の記載が一般的な範囲にとどまる商品もある。どちらが良い悪いではなく、書かれている内容が違うということである。
価格や定期購入の条件は販売する場所によって変わることがある。購入を検討する場合は、広告のリンク先にある表示をそのつど確認したうえで判断したい。




