化粧品広告に「くすみ」という言葉が出てくることは多い。買う前の読者にとって、この言葉が制度上どういう位置づけかを知っておくと、広告文を読み違えにくくなる。ここでは化粧品の効能表示のルールに沿って、「くすみ」という言葉の扱いを整理する。
「くすみ」は化粧品の効能に無い言葉
化粧品でうたってよい効能は、厚生労働省の通知「化粧品の効能の範囲の改正について」が定める56項目に限られる。この一覧に無い効能を、化粧品の広告で直接の効能として書くことはできない。
一覧を確認すると、「くすみ」という語そのものは56項目のどこにも見当たらない。医薬部外品の効能効果の範囲を示す別表4-1にも、この語は無い。したがって「くすみ」を化粧品の直接の効能として表示する根拠は、制度上存在しない。
一覧の中で近い言葉は3つある
56項目の中で「くすみ」と近い印象を与えうる言葉は、次の3つである。
- (31)「肌にツヤを与える」
- (19)「肌を整える」
- (17)「(汚れをおとすことにより)皮膚を清浄にする」
いずれも「くすみ」とは言葉そのものが違う。(31)はツヤという見え方について、(19)は肌の状態を整えることについて、(17)は汚れを落とすことによる清浄さについての表現であり、指す範囲もそれぞれ異なる。「くすみ」という語を直接この3項目のどれかに読み替えることはできない。
色に関する効能は(37)だけで、条件が付いている
56項目のうち、肌の色に触れる項目は(37)「日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ」だけである。この項目には2つの限定が付いている。
1つは「日やけによる」という原因の限定で、日やけ以外の原因によるシミやソバカスは対象に含まれない。もう1つは「防ぐ」という予防の限定で、すでにできたシミやソバカスを薄くする、消すといった働きは含まれない。
(37)は「日やけによる」「シミ、ソバカス」「防ぐ」の3つが揃った形の項目であり、この3つのどれかを外した言い方は、一覧の内側には無い。肌の色そのものについて述べた項目も、56項目の中には無い。
広告の中の「効能の文」と「商品の説明の文」を見分ける
同じ広告の中でも、効能を述べる文と、商品の使用感や魅力を語る文は別々に書かれていることが多い。両者は役割が違うため、読むときは区別して扱う必要がある。
広告を読むときは、まずその広告がどの区分の説明をしているかを示す表示を確認する。そのうえで、効能を述べた文だけを拾い出し、商品の見た目や使い心地を語る文と混同しないようにする。効能の文でない部分にまで、56項目の当てはめを持ち込む必要は無い。
「くすみ」表示を見たときの確認手順
広告文の中に「くすみ」という言葉を見つけたときは、次の順に確認するとよい。
- 広告文の中から、区分を示す表示を先に確認する。
- 文の中から、効能を述べている文だけを抜き出す。
- その文が56項目、または医薬部外品の別表4-1のどの言葉に対応するかを照らし合わせる。
- 対応する言葉が見当たらない場合、それは56項目や別表4-1に定められた効能とは別の表現だと考える。
「くすみ」という語自体は、この確認手順のどの段階でも56項目や別表4-1の言葉と一致しない。広告文に出てきた場合は、(31)(19)(17)や(37)のいずれかの言い換えではなく、それらとは別の表現として書かれている、という前提で読むことになる。




